2006年04月28日

入江 敦彦

dakegasitteiru.jpg


京都人だけが知っている / 入江敦彦 洋泉社刊


始めに一言。
私(torigen)は、一般的?な「京都」に対して何の思い入れも無いし他の地方都市、或いは大阪や東京が京都より優れているとか劣っているとかという認識を持った試しはない。
その上、東京一辺倒の各マスコミが放送で垂れ流す程「京都」は良くもなければ、極端には悪くもないと感じている。
このBlogを運営するに当たっても、殊更に京都だからとかっていう変な力みなどサラサラないのである。
しかし、永い間メディアによって間違った伝えられ方、思い込みなどによって一般ピーポーの認識が偏向ぎみだったことは否めない。

稚拙な観光本や、女性向け雑誌等に掲載されてきたミーハー的記事については憤りすら覚えるし、京都に興味をお持ちの方なら少しでも本当のあるがままの京都を観て頂きたいと常々思っていたのだ。

ここ、数年何度目かの京都ブームなんだそうだ。(知らなかった、義経がNHKで放映されたからか?)
ま、単純にショート・カットするのはアメリカ国民だけではなく、我が日本国もその(どの?)カテゴリに置いて俄然トップを独走しそうな勢いの中、違いのわかるオッサンがまた独りいたって事が判明したのだ。

1961年、京都・西陣生まれ。
多摩美卒後、MICHIKO LONDONコーディネーター。
現在、英国在住のエッセィストな入江敦彦氏だ。


表題の次作、「やっぱり京都人だけが知っている」のまえがきに『京都がいつから《一見さんお断り》を始めたかは判然としないが、なぜ、このシステムを導入するようになったかは歴然としている。それは京都が都会(ミヤコ)だったからである。」

こんな物言いだと誤解を受けるゼ!と言いたくなるような断定からはじまっている。
ムカっと来た人、?と思った人、貴方達はコノ人の術中に早くもハマっているのかも知れない。

軽妙な語り口、辛らつな物言い。
寺社仏閣や京都発のビジネスにも非凡?なアンテナを持って、グサっと切っているのが小気味好い。

この"おっさん"の本は全部読破することに決定!パチパチ。


posted by tori's 108 at 04:07| Comment(18) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月27日

ジャズでめぐるニューヨーク

taktokiwa.jpg


ジャズでめぐるニューヨーク / 常盤 武彦 角川書店


ニューヨークを拠点としてジャズ制作の現場で、CDカバー、レコーディング、ライヴ、プロモーション写真を撮影、スゥイング・ジャーナル、ジャズライフ誌などへの執筆活動を続けるフォトグラファー常盤武彦氏が、臨場感豊かにミュージシャン達とジャズ・クラヴの"今"を紹介する。

『ニューヨーク音楽スポットMAP』から始まる内容は、氏のジャズに対する深い造詣とそこに生活する者ならでわの真近に体温を感じる内容だ。
あたかも読者がニューヨークのまっただ中にいるような錯覚さえ覚えそうな…。
所々に入る、音楽用語の解説も私のような門外漢には有り難いし、用法的に再認識することもある。
大立者から新進気鋭のミュージシャンまで、ニューヨークゆかりのアーティストの紹介も氏が直接インタヴューし、撮影した生の空気感が曰く言い難い魅力にもなっている。

Jazz at Lincoln Center, B.B.King Blues Club & Grill, The Kitano New York, The Knickerbocker Bar & Grill, The Village Vanguard, Smalls, Blue Noteなどなど、'50,60年代は全米各地にジャズ・クラヴがあり、減少傾向の昨今ではあるようだが、ニューヨークではまだまだ熱い夜が失われていないようだ。

Hiro Sase氏のサイト・リンクから辿って、Tak Tokiwa氏のサイトにお邪魔して初めて、著作「ジャズでめぐるニューヨーク」の発刊を知った。
おかげで、京都に居ながらにして本場ニューヨークを堪能した気分だ。

Broadwayの活気と共に、やはりショー・ビジネス大国であり遊びの何たるかを判っている人々が多いのだろうし、そういった面では奥行きのある国なのだ。店によってはそのクラヴ専属のビッグバンドが存在し、それが複数あるという事実からも、活気が推し量れようというものだ。

別のカテゴリにおいては、びっくりするほど単純にショート・カットの国でもあるのだが…(汗)。


Tak. Tokiwa Photography

http://taktokiwa.tripod.com/Main.html
posted by tori's 108 at 04:01| Comment(20) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月26日

JAZZ

tonimorrison.jpg


JAZZ / Toni Morrison 大社淑子 訳 早川書房 刊


この本を読みはじめて、最初に感じたのはこりゃ小説というより音楽だという驚きだ。
英文の歌詞を対訳したもののような…。

1920年代のアメリカ、奴隷制度を初めとしたアフロ系に対する差別・虐待・殺人がまだまだ平然と行われていた時代を背景に、物語りは進行する。

『彼女はもう一度泣き、ジョーはしっかり抱いてやる。イロクォイ族のような空が窓の外を通りすぎる。もし2人がそれを見たとしたら、空は2人の愛をクレヨンで彩ったことだろう。2人の愛が染まるのは、かなり時間が経ったあと、彼が椅子からクレオパトラのサンプルケースを持ち上げ、開く前に彼女をからかうときだ…』

ひとつの行動を現わすにも、どこかリズムがあるように思えてくる。
言葉で旋律を現わそうとするかのような…。

訳者大社氏も後書きで、「意識的に音楽のリズムを文体に移そうとする大胆な実験が行なわれている。ジャズがインプロヴィゼーションを生命とするように…」と述べている。
ふとしたことで出会った、若い娘との関係が次第に深みにはまってしまい男は射殺してしまう。「愛しかたがわからなかった…」と。
時代背景、アフロ系アメリカ人を取り巻く社会環境をも旨く取り入れながら微妙な人間関係が語られて行く。

1931年オハイオ州ロレイン生まれ。1993年にはアフロ・アメリカンの作家として始めてノーベル文学賞を受賞した。

posted by tori's 108 at 03:33| Comment(12) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月13日

日本プラモデル興亡史

mokeijinsei.jpgtakarajima.jpg


「日本プラモデル興亡史 / 井田 博 著」


「進駐軍が連れて来たプラモデル」で始まる本作、「プラモデルという言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?零戦、大和でしょうか、スーバーカーでしょうか、それともガンダムでしょうか。思い浮かべるものによって、この本をお読みになっている方の年齢がだいたい想像できます。」

平成15年現在、当年とって83歳のプラモデル人生の集大成として書かれた。

プラモデルが日本で造られて、平成15年当時で45年ということは…現在で48年か。

「HONDA F-1」by 田宮模型など、小さい頃から私もお世話になったクチだ。
マルイにHASEGAWA、日東にエルエス。企業として残っている社も少ないのだけれども、少なくとも「模型」と「漫画」では未だに" 高水準"を保っているのだ、この頼りない国も…。

日本初のプラモデルとされる「マルサン製ノーチラスSSN-571」の紹介などマニアにとってというか、その時代に少年期を過した人に取っては懐かしさが込み上げてくるだろう。

著者は、その後「モデルアート」誌の社主として活躍。

プラモデル以前の木製組立飛行機などの紹介もある。

「模型とラヂヲ」で育った私としては、感涙ものの本なのだ。
posted by tori's 108 at 03:52| Comment(35) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月11日

DA VINCI DODE

davincicode.jpgdavincicode2.jpgdavincicodedvd.jpg


THE DA VINCI CODE / Dan Brown

越前敏弥 訳 角川書店刊

Dan Brown : 1964年ニューハンプシャーに生まれる。英語教師から作家へ。
       無名ながら本書が破竹の勢いでベスト・セラー。

(2006年5月20日 東宝洋画系にてロードショウ)
監督/Ron Howard
Tom Hanks, Audrey Tautou, Jean Reno


宗教関係の史実や伝説に疎い人は、作者の"蘊蓄"に着いて行くのがしんどいかも知れない。
何を隠そう、私も宗教に関してある意味では興味を持っている部分もあるが、一般にいうキリスト教聖杯伝説などとくるとさっぱり判らない。訳者付記として、参考文献まで掲げられているのだ。

ミステリ小説と簡単に片付けてはいけない程の"蘊蓄"。
しかも、宗教、まして中世ヨーロッパまで遡るからには、やはり付け焼き刃の知識で完全な把握とまでは無理かも知れない。

しかし、謎解きミステリとしても充分に楽しめる本ではある。

絵画「最後の晩餐」にはダ・ヴィンチが英知の限りを尽くした暗号が書込まれていた。
宗教史実とか伝説とかが絡んでくると、物語りにある種深みが加わるように感じるのは私だけだろうか?
現実問題としての宗教には、腰を引きぎみの私なのだがコレが映画とか読物となると話しは別になってしまうのだ。神秘が謎を呼ぶのだよ、コレが…。


ps:しかし、映画と本のデータが一気にぶっ飛んだのは非常に痛い…。

どんな本だったか、作家はなんてまるで判らなくなってしまった(爆)。
posted by tori's 108 at 03:16| Comment(3) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月07日

SPY ON THE ROOF OF THE WORLD

spyontheroof.jpglightbrigade.jpgthirdman.jpg


SPY ON THE ROOF OF THE WORLD / Sydney Wignall

「ヒマラヤのスパイ」文芸春秋 刊


1955年、西チベットはインドとネパールの国境付近、タクラコットからヒマラヤ登頂にわたる国境付近踏査の中で著者が実際に遭遇した事実を元に書かれた。

1969年に英国人俳優、「遥かなる戦場」「第三の男」のTrevor Howardに勧められ、タイトルも彼が付けたという曰く付きの物語りだ。
出版されたのが1996年というのは、このヒマラヤ遠征に伴った「情報収拾」の任務に絡んで、それを依頼したインド陸軍軍人のインド内での立場が考慮され、25年間は公表しない取り決めがあった為だ。

著者Sydney Wignallは登山家で、海洋考古学者でもあり、数々の難破船の引き揚げやネス湖の怪獣捜索などを30年以上の長きに渡って活動しているが、インド軍情報部或いはCIAに所属している訳ではない。
しかし、インド情報組織からの依頼を受けて西チベット地域国境付近での中国解放軍の動きを調査することになる。

厳しい自然と壮大なスケールで描かれる世界が圧巻だが、そんな大自然とは裏腹に政治的、覇権主義的水面下の争いが人間の醜くさを滑稽なまでに語られていて、読む者を震撼させる。

ノンフィクションであるが故、面白くもあり恐ろしくもある現実離れした物語に引き込まれていく。

posted by tori's 108 at 04:25| Comment(26) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日

Japanese translation

hinode2.JPG1155.jpg1119.JPG


『THE JOURNEY OF THE STONE MAN

Acknowledgements

As we go through the years of our lives a number of events cross our paths; they're like milestones as we age. There seems to be little we can do to halt the coming of graduations, weddings, births, and, indeed, deaths, So many of these touched my existence since the first book of the Stone Man Trilogy, The Pearls of the Stone Man, was published in early 2002 that I can Attest that there were chapters of this story that were brutally difficult to write.
You see, this book continues the saga of the Marino family. It's about a father and son relationship As I wrote this I had to endure what is probably one of the toughest jobs a father can ask a son to do: be with him as he dies. I found myself living the words I used to form this novel. I became familiar with funeral homes and a cemetery.
(冒頭の本書に寄せて、作者Mr.Edward Mooney,Jr.)


ストーン男性の旅行

承認

私たちが私たちの人生の数年に直面しているのに従って、多くの出来事が私たちに出会います; 私たちが年をとるようにそれらは重大事件に似ています。 発行されたコネ早めの2002は、ストーン男性三部作の最初の本以来私たちがそして、これらについて本当に死で、そのように。多く卒業結婚式出生の来ることを止めるためにすることができない少ししかは私の存在に触れましたストーン男性の真珠ということであるためにはそのI缶のはでしたを証明します。見える、この書くのが凶悪に難しかった話の章がありました。
あなたは見て、この本はマリーノ家の伝説を続けます。 に関してとしてのこれを書いた父と息子関係、私がたぶん父が、息子がするように頼むことができる中で最も厳しい仕事の1つであることを我慢しなければならなかったということです: 彼が死ぬように彼と共にいなさいということ。私がこの小説を形成するのに使用した単語を住ませるIfound自身。私は葬儀の家と墓地になじみ深くなりました。』



とまぁ、翻訳サイトで訳すとこんな感じ…。
意味は通じるといったところか。
タイピングは、キーボードを見ないでも叩けるので思ったよりは速いペースで進むのだが、訳すとなると上の翻訳サイトで大まかに出来たものを、作品に合うようにアレンジする感覚でニュアンス的に微妙な部分をどう日本語にもってくるかによって読み手の印象はガラりと変わってしまうのだろう。
改めて、翻訳者諸氏に脱帽。(当たり前だが…)

随分昔になるが、外大の学生に車関係のメカニカルな文章を訳してもらったのだが、専門用語がまるでわからない為、意味不明の訳文が戻って来たことがある。
そりゃ、そうだわな。メカニックにはその業種の、医療にはその関係の専門用語が溢れている訳だから。
前途多難だ…(爆)。

写真は酒処、伏見界隈。

posted by tori's 108 at 04:11| Comment(10) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月05日

THE JOURNEY OF THE STONE MAN

journey.jpgjourneypearls.jpg


By the Author of
The Pearls Of The Stone Man

"THE JOURNEY OF THE STONE MAN" Edward Mooney,Jr.


ついに届いた"THE JOURNEY OF THE STONE MAN"と"THE PEARLS OF THE STONE MAN"。

日本語訳書「石を積む人」を近年にないくらい気に入って、第2作目にあたるのが"THE JOURNEY OF THE STONE MAN"なのだが、この邦訳を待切れなくて英語版を購入という暴挙、愚挙に出てしまった(爆)。

単語のスペルもままならず、長文読解なんて何年振りだろ?的状況。その上、左目の瞳の裏側に水が貯まる持病(ストレスから発症し、小さな穴から水が染み出てピントが合わなくなる。何年か前、商売が左前になってきた時に自覚症状が出、総合病院にてレーザー治療をするもまたもや再発)と老眼、眼精疲労などなどの為、小さな文字を読むのが非常に辛いというのにだ。
時間を惜しんでひたすら読書、ネット、運転、飲酒と目に悪い事ばかりなので当たり前と言えば当たり前、なにせ「活字中毒」ってのが始末に悪い。

が、前向きに行こう(なんちゃって…)。
posted by tori's 108 at 03:46| Comment(15) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月02日

Waiting for My Cats to Die

waitingfor.jpg

Waiting for My Cats to Die ./ Stacy Horn

「猫と暮らす一人ぐらしの女」青海恵子 訳 晶文社刊


「ミドル・クライシス(中年の危機)」というのだそうだ。
都会に住み、そこそこの友人もいる、しかし、孤独?な中年を迎えた独身女性。
好んで結婚しない訳でもない。唯、出会いがないだけだと…。歳の若いセックス・フレンドはいるが、結婚という感じでもないし、その男性が理想の結婚相手でもないと思ってる…ハズ…、たぶん。

「動物保護管理センター」から譲り受けた猫2匹との暮らし。そのヴィーツとビームス、2匹が2匹とも糖尿病を患っていて12時間おきにインシュリン注射をしなければならない。おまけにビームスは腎臓も悪く、1日おきに点滴もしなくては…考えただけでも大変だ。しかし、微笑ましくもある(失礼)。

なんだか、良く判る気もするし全然解らない気もしてくる。
そんなStacyのニューヨークでの生活が、彼女の葛藤?、疑問などを絡めながら綴られている。


ニューヨーク大学で「バーチャル文化」を教え、ヴィレッジのアバートで作家やアーティストが多く集う「エコー」を主催し、月に一度、KGBというバーで、このサイトの作家たちによる作品の朗読会もやっている。そしてビームスと、ヴィーツの死後もらってきた「ネコちゃん」と暮らしている。(訳者あとがきより)
posted by tori's 108 at 01:06| Comment(7) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月30日

HITLER'S SECRET BANKERS

hitler.jpghakenkreuz.jpg


HITLER'S SECRET BANKERS / Adam LaBor
"HOW SEITZERLAND PROFITED FROM NAZI GENOCIDE"

「ヒトラーの秘密銀行」鈴木孝男 訳  KKベストセラーズ刊
"いかにしてスイスはナチ大虐殺から利益を得たのか"

副題を見てもわかる通り、永世中立国であり風光明媚な土地柄も手伝って一般的に考えられている公平、積極的人道主義の政策をもつスイスという国と、この国が大戦前後においてあまりに枢軸国側に片寄った難民受入拒否などの国家的判断、戦後のユダヤ人たちに対する冷酷無情な対応に驚きを隠せない。
スイスの一般的国民の民意とは掛け離れた一連の意志決定はどのようになされたのか。

「スイスの銀行、とりわけスイス国立銀行は、ナチスが占領国の国庫から没収した金塊のみならず、殺害されたユダヤ人たちから奪った金塊をも受け入れていた。…即金で買い上げるか、またはナチスに代わって資金洗浄(ロンダリング)を行った後、…」(作中より抜粋)。

ナチスに代わって資金洗浄ということは、片棒を担ぐなどという段階ではない。
この前代未聞の国家的大殺戮の中、世界の銀行家、特にスイスの銀行家たちの戦前、戦中、戦後を通して行ってきた経済活動は、とりも直さずナチス・ドイツにとって戦争遂行能力を維持する為の最重要事項であったと言っても過言ではない。

作中には、数々の個人的エピソードも描かれている。
ナチス政権の中枢、ヒトラーの右腕ともいわれたドイツ空軍総司令官ヘルマン・ゲーリング(戦犯法廷で死刑判決を受けたのち自殺)の弟、アルベルト・ゲーリングがユダヤ難民の為、私財を投じて口座を開設、友人でハンガリー系ユダヤ人医師ラディスラオ・コヴァーチに託すなど数々の人道支援を行っていたなどというくだりには、人間の持つ愚かさと崇高さという二律背反する行ないに驚きを禁じ得ない。

スイスでも一般の人々は、総じてユダヤ難民を手厚く保護したというのに、その国民の総意であるはずの政府が正反対の愚行を犯す歴史的事実を現代の日本に住む我々も他人事と看過してはならない。

膨大な資料、各関係諸国の機密文書、当事者の私信などを調べあげた現実の『記録』なのだ。
当時のヨーロッパ諸国の動きなども合わせて、激動の大戦前後を地図を広げながら読むのも良いかも知れない。

posted by tori's 108 at 03:37| Comment(5) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月29日

THE JOURNEY OF THE STONE MAN

journey.jpgpearls.jpg


"THE JOURNEY OF THE STONE MAN" by Edward Mooney Jr.


む、む、無謀にも邦訳、出版が待ち切れずペーパー・バックを購入してしまった(汗)。

blogトップに掲載している「石を積む人」"The Pearls of The Stone Man" by Edward Mooney Jr.の英語版と次作"The Journey of The Stone Man"だ。


辞書と格闘しながら読むと何時終わるかわからない闘い?を覚悟しなければならないゾ→自分。

もっと、英語を真剣にやっておけば…と今さらながらそう思う。
しかし、中学の英語教師を思い返してみればそれも仕方ないか…とも。「This is…」をその先生ったら「ズぃす いず」なんて某旺文社の解説本みたいな発音してたから(爆)。
これじゃ、欧米人に通じる訳がない!とその時に諦めてしまったのだ(汗)。ねぇ、ミクリ先生。

そのトラウマは、高校、大学と緒を引きずって私の人生辛かった(笑)。

ま、一日に2〜3ページかひょっとしたら数行ってこともおおいにあり得る。
亀のようなスピードではたしてストーリーが頭に入るものかどうか(爆)。

老眼鏡買わなきゃ…だな(爆)。
posted by tori's 108 at 11:33| Comment(11) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月28日

BANKING ON DEATH

bankingondeath.jpg


BANKING ON DEATH / Emma Lathen

邦題「死の信託」中島なすか 訳 論創社刊


Emma Lathen ': "BANKING ON DEATH"はデビュー作にあたる。Mary J. Latsis(1927〜97)と、Martha Hennissart(1929〜)の合作のペンネームで20を越える長編を執筆した。
それぞれに経済、金融関係の仕事に就き本書でも登場するマンハッタン有数の銀行スローン副頭取ジョン・パトナム・サッチャーを主人公に経済界における事件の数々を描いている。

ミステリ・ファンとしてあらかた作品を読んでしまったので、今度は自分たちで書いてみようというのがきっかけだったとか…。
あり得ないストーリのこねくり回しが無く、ウィットに富んだ登場人物たちの言動がおもしろい。
肩の力を抜いて読書を楽しむにはうってつけの作品だ。
こんな本を持って夜行の旅なんて最高かも知れないが、今やそんな情緒もへったくれもあったものでは無い。

ジョン・パトナム・サッチャーシリーズのうち邦訳されているのは…。

『小麦で殺人』(1967) ………ゴールデン・ダガー賞受賞
『死の会計』(1964) …………シルバー・ダガー賞受賞
『ギリシャで殺人』(1969) … N.Y. Tilmes '69年度年間優秀リスト選出
posted by tori's 108 at 03:05| Comment(12) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月14日

ASYLUM (閉鎖病棟)

ASYLUM (閉鎖病棟)by Patrick McGrath 池 ヒロアキ 訳 河出書房新社 1996


1950年ロンドン生れ。ポストモダン・ゴシックの旗手として、英米で最も注目を集めている作家の一人。

広大な土地に閉鎖隔離病棟を持つ精神病院が舞台だ。
大病院の精神科医にして、最古参、重要な地位にある医師が語り部となり今だ英国貴族社会の持つ閉鎖性と階級差別をそのまま色濃く残す職場でストーリは展開する。

過去に精神に異常をきたし、妻を惨殺した重症患者エドガーは日頃自らを抑制して閉鎖病棟から解放され日々の監視も軽度なグループにまで「恢復」していると診断されていた。
しかし、極度の妄想性精神異常は回復に向かっているのではなく意識の底に深く潜行していたに過ぎなかった。

院長昇進を目論む副院長夫妻を巻き込み、物語りは意外な方向へと進んでいく。

精神医学的な立場からストーリが語られ、最後まで興味は尽きない。

asylum.jpg
posted by tori's 108 at 04:20| Comment(2) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月11日

Cafe Berlin

Cafe Berlin / Harold Nebenzal 平田良子 訳 集英社

Harold Nebenzal: ユダヤ系アメリカ人。脚本家、プロデューサー。元海兵隊員。
          小説では本作がデビュー作となる。

ナチス政権下の1941年ゲシュタポの追跡を逃れてベルリン市内にある家屋の屋根裏に隠れ、1945年当市が連合軍により解放されるまで、そこに暮らした。日記はその間に書かれたものである。
彼は脱出する際、日記帳をその小部屋に残してきた。
ベルリンの壁が崩壊し、東西ベルリンの再統一が図られたのち、東区域の建物が数多く廃棄処分にされた。
建築物解体業者が、ビルのひとつで何冊かの日記帳を発見。警察に届ける。(1990.5.19 LA・タイムス)

こうした数奇の運命をたどった実在の人物による日記を元に小説化された本作。

ヒトラー率いる極右勢力が台頭し、政権を握ろうとしているまさにそんな時代。
ユダヤ人にとっては日増しに状況が悪化していた。
そんな中、主人公は偽パスポートなどで偽装しベルリンでカフェの経営に踏み切る。
彼がベイルートやその他、少しでもドイツを離れようとしなかった動機は何か、ナチスの狂気とどんな気持ちで対峙し、どう行動したのか。
歴史的事実に基づいた話だけに嫌悪を覚えながらも引き込まれて行く。
世界各地に散らばったユダヤ系の人々どうしの葛藤や差別、回教の人々との交流や断絶と、当時の政治情勢や民族固有の歴史的背景をもあわせて非常に興味深い作品だ。


cafeberlin.jpg
posted by tori's 108 at 06:10| Comment(2) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月04日

See Ya, Simon

See Ya, Simon by David Hill (僕らの事情)田中亜希子 訳 求龍堂

15才の少年ネイサンとサイモン。
何処にでもいるティーンエイジャー、ロックンロールと女の子に興味津々な普通の二人。
しかし、サイモンは筋ジストロフィという死に至る難病をかかえていた。

ネイサンの視点から観た親友サイモンとの交流、日常生活、悩みや問題を通して瑞々しく描かれた物語だ。

実際に作者の娘さんの友人で、サイモンのモデルにもなった「N・J・B (1975〜1990)」をしのぶ作品でもあるようだ。娘さん自身もジョークを連発する利発な若者だったようで、その辺の所もネイサンの女友だちの設定で随所に描かれている。

高校教師でもあった作者、生徒たちとの交流がこの作品に与えた影響も大きいことだろう。
読者の側も自身の青春時代、学生時代を振り返って少しでもダブるような場面があると余計に物語りに親近感を持つものだ。

何気なく選んでいるつもりが、最近「普通の日常」を題材とした小説が多くなってきたような…。

seeya,simon.jpg
posted by tori's 108 at 09:20| Comment(4) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月24日

THE SHIPPING NEWS

「THE SHIPPING NEWS」by E.Annie Proulx  上岡伸雄 訳 集英社 (港湾ニュース)


1935年、アメリカ・コネチカット州生れ。50代から本格執筆活動を開始。
本書でピューリッツァー賞など各賞受賞。

訳者あとがきで上岡氏が書いている。
「小説のおもしろさって何だろう?もちろん、ハラハラドキドキさせるストーリーの展開も小説を読む醍醐味のひとつだが、地味なストーリーながら、文体の魅力で読者を惹きつけてやまないような小説もある。」

まったくもって、同意見だ。
ミステリから歴史小説、ドキュメンタリなどなど乱読・活字中毒気味の私なのだが、若い頃から文体にこだわっている。ストーリーの展開もさることながら、文体で気に入った作家と言えばF・フォーサイスやフィリップ・ロス、スティーブン・ボチコなどが挙げられる。

最近の個人的な嗜好で言うと、淡々としたストーリーの中、文体の妙で読ませるものが好みだ。
まさにコノ小説もそんなストライク・どまん中の一冊だ。
所々に散りばめられた、人物描写でのユーモアも好ましい彩りを添えている。
ニューファンドランドという土地と住人の持つ、雰囲気と味を楽しみながら興味深く読んだ。

※現在のニューファンドランド・ラブラドール州の人口は約53万人。                     
 イギリス南西部、アイルランド南部からの移民が多く、フランス系の人々も
 少数在住。殆どが漁業を営み、漁業犬ニューファンドランドを生んだ地域で
 もある。


shippingnews.jpg
posted by tori's 108 at 11:22| Comment(2) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

Je m'en vais / Jean Echenoz

「Je m'en vais / Jean Echenoz (ぼくは行くよ)青木真紀子 訳 集英社刊」

『他の作家の書くような時間軸に沿った小説ではなく、地理的小説を私は書くのだ』 訳者あとがきより
とJean Echenozは述べているらしい。

8作目の長編小説である本作で仏ゴンクール賞受賞。
1948年、南仏オランジュ生まれ、パリ在住。

読みはじめの4〜50ページは、ハッキリ言うと仏作家にありがちな退屈を絵に書いたような小説かと半ば諦めにも似た気持ちをもちながら、しかし、図書館が閉館中だしなぁ…などと考えていた。
 
読み進むうちに徐々にこの作家が持ち、訳者があとがきで指摘している緻密な組み立てと大胆極まりない場面転換の妙というのが判ってくる、と俄然おもしろくなってくる。
そして、これもあとがきにあるのだが比喩表現がユーモアに溢れていて思わずニンマリしてしまう。
女好きのうらぶれた中年男の冒険ミステリとでも言えそうな内容に変化していく様は何ともEchenoz一流の彼だからこそ書ける小説だ。
始めに持った印象と読み終わった際に改めて持つ印象がこれだけ変化する小説というのも珍しい気がする。

流石がゴンクール賞の委員たちが是が非でも彼に賞を取らせたいが為に、通例の受賞発表を前倒しにするという暴挙?に出た気持ちもわかろうというものだ。

「地理的小説を書く」か…、うむ、おもしろい。


Jemenvais.jpg
posted by tori's 108 at 04:01| Comment(0) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月13日

CODE to ZERO

「CODE TO ZERO / Ken Follett 戸田裕之 訳 小学館刊」

私にとっては久々のポリティカル・スリラー物。
時代は冷戦さなかの1958年、米ソが覇権をかけて暗闘していたまっただ中。
宇宙開発でも凌ぎを削っていたが、ソ連が一歩リードしているなか「エクスプローラ」打ち上げに絡んで両国の組織が動き出す。
CIAとKGBの暗闘を描いたものは数々あるが、この本でも映画を観るような感覚で緊張感をもって読める。

主人公のルークはそんな宇宙開発チームの一員なのだが、記憶を無くした状態で浮浪者同前に駅の便所で目覚めるところから物語りは始まる。
一向に戻らない記憶と戦いながら、自分が尾行されていることに気付く。

難しい事抜きに楽しめる一冊だ。

しかし、本当にあってもおかしくないストーリに超大国の自国の利益しか考えない姿は空恐ろしいものを感じる。
イランの核開発を巡って、アメリカは空爆のシナリオも視野に入れたと報道された。
またまた、きな臭い情勢になってきている現実がある。

著者Ken Follettの著作スピードには驚く。
次々に出版されていて、読み手が追い付かないくらいだ。

codetozero.jpg
posted by tori's 108 at 12:43| Comment(4) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

Ghost Soldiers

「Ghost Soldiers」 Hampton Sides 著 山本光伸 訳 光文社刊

The Epic Account of World War 2's Greatest Rescue Mission
「第二次世界大戦最大の捕虜救出作戦」

アメリカ、日本の関係資料、救出に赴いたレンジャー、捕虜など綿密に調べインタビューを重ねて本書は書かれている。大戦中、フィリピン・ルソン島で現実にあった悲劇だ。
バターンへ進軍する本間雅晴指令官率いる帝国陸軍の大部隊に、1942年4月9日エドワード・キング将軍はアメリカ軍始まって以来の「降伏」を申し入れる。
戦況を立て直す為、一時撤退を決めたフィリピン防衛軍指令ダグラス・マッカーサーだったが同日に攻撃を受けたパールハーバーではアメリカ極東空軍はその大半を殲滅していた。
忘れられた存在となってしまった米兵捕虜の苦難が始まる。

ひとつは「戦争」という悪夢が生む残虐性だろうし、ひとつには兵站を考慮せずあまりにも進出し過ぎた為にアメリカの大反撃に備えるにも弾薬も食料も燃料も尽きかけているといった悲壮感が為せるわざだったかも知れない。それとも国家神道を標榜し、敵に降伏などせず捕虜共々地獄へなどと考えたのだろうか?

日本兵の悲壮感からくるヒステリー的行動でも、たくさんのアメリカ、フィリピン兵が理不尽にも斬首されたり腹を裂かれたりして殺されて行く。非戦闘員である、現地の村びとたちも含めて…。
あまりに残酷、あまりに理不尽。
それがまかり通ってしまうのが「戦争」だ。

大東亜共栄圏と称して、アジアを蹂躙したのに戦後補償も含めてきっちりした形を取れない経済大国ってどんな国なのか?
この本の中にも出て来るのだが、フィリピンの人たちに取って顔面を叩かれる程の侮辱は無いのだが軍国主義日本帝国では精神注入棒とか鉄拳制裁は当たり前の世界だった。
顔面を叩いた瞬間にフィリピンの人たちの自分たちが考える進むべき道が決まったと言っても過言でないかも知れない。
しかし、今だにフィリピンやタイの人たちを蹂躙しに行くゴルフ・スラックスを履いた馬鹿どもがいるって事を忘れてはならない。


ghostsoldiers.jpg
posted by tori's 108 at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月27日

Millions

「Millions / Frank Cottrell Boyce著 池田真紀子訳 新潮社」

Frank Cottrell Boyceは映画の世界の脚本家だ。
『バタフライ・キス』『ウェルカム・トゥ・サラエボ』などの作品がある。

この「ミリオンズ」はそんな彼の初小説だ。
訳者あとがきに寄れば、本国イギリスでは小学校高学年向けの児童書として刊行され、ベストセラーとなったとある…。しかし購買層が小学生だけでは無かったらしい。

母を病気で無くした兄弟と父親、近隣の人たちに同級生や先生、これまた私の最近の嗜好と合致(たまたまだけど)した普通の日常から始まる物語だ。

時代はまさにヨーロッバ各国の通貨が「ユーロ」に統一されようとしている頃だ。

小学5年と6年の兄弟の冒険が活き活きと描かれ、読後爽やかな気持ちになれる作品だ。

しかし、イギリスではこんなのを小学校高学年用として刊行しているのか…少々複雑。
これを読んで、日本の小学生はどんな感想を持つのだろう?というより、ゲーム・ボーイ(に限らないが)を放りだして読める子がどれだけいるのか甚だ疑問ではある。
去年秋には映画化され公開。

millions.jpg
posted by tori's 108 at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。